3月17日~5月10日
東京国立近代美術館
下村寒山展
↑《弱法師》1915(大正4)年 重要文化財 東京国立博物館
明治から昭和初期にかけて活躍した日本画家下村寒山の関東で13年ぶりとなる大回顧展である。紀伊徳川家に代々仕えた能楽師の家に生まれた下村観山(1873-1930)は狩野芳崖(かのうほうがい)、橋本雅邦(はしもとがほう)といった日本画家に師事したのち、1889年(明治22年)東京美術学校、現在の東京藝術大学の第一期生として入学。卒業後は同校で教員として後進の指導にもあたっている。東京美術学校の同胞には日本画家の横山大観(よこやまたいかん)や菱田春草(ひしだしゅんそう)などがいる。後
↑ポスター画像↑《竹の子》(絶筆)1930(昭和5)年 個人蔵
に校長の岡倉天心とともに美術学校は辞職、日本美術院の設立に参加した。狩野派、大和絵、琳派、中国絵画そして西洋絵画まで、東西の伝統的な絵画表現を徹底的に学び、自由自在に筆を操った観山。今もなお、その繊細な筆技は他の追随を許さない。岡倉天心亡き後は横山大観とともに画壇を盛り立てた。
本展では、観山の作品を再検証し、意味を読み解き、その絵画の成り立ちを探るというもの。観山の作品はよく観察すると和洋折衷の不
↑《楓》1925(大正14)年南湖神社蔵 画像提供:白河市歴史民俗資料館
可思議な表現やミステリアスなモチーフなど人を惹きつける要素が散らばっている。そこにはテクニックの他にその作品の成り立ちや画家の背景も大いに関係しているのである。これらを解きほぐし、作品が示す意図と観山芸術の意義を見出して紹介していく。
さらに今回は、寒山の英国留学時代の作品が里帰りして紹介される。初期の絵画活動のなかでこれからの日本の絵画に色彩の研究が不可欠と考えた寒山は、日本画家で初の文部省留学生として英国へ留学。今回本展で里帰りした作品は、現地で親交を深めた小説家で東洋美術研究家のアーサー・モリソンに贈った作品。作品からは、海外経験を通じて当時観山がいろいろ考えた「日本画のあり方」が感じられる。作品だけではなく、見どころの一つに寒山がその異国の地から師・橋本雅邦や母に対して送った便りや異国で収集したスクラップブックなどがある。英国の美術館で古今の名画を目にする喜びと度同時に思い知る自分の未熟さを痛感し、また身の引き締まる思いで日々を送る様子が綴られている。手紙に添えられた絵には、下宿先で熱心に制作する観山が描かれその奮闘ぶりが伝わってくる。
↑《木の間の秋》1907(明治40)年 東京国立近代美術館蔵
さらに、日本の古画 や中国絵画の研究の成果、画家のルーツでもある能を主題とした重要文化財《弱法師》、時の政財界人とのサロンのようなネットワークにもスポットを当て、様々な角度から観山芸術の魅力を探る。 明治から大正へと時代が移り変わる中で絵画のあり方に改めて追及した観山。自己表現のための芸術とはまた別に、作品を見る個人あるいは、社会とともに生きる絵画を追い求めていったことがわかる。下村寒山や横山大観を知らないという世代も出てきた昨今、明治の日本画の黎明期を担った画家に改めてスポットが当たった。
『下村観山展』東京国立近代美術館 (千代田区・北の丸公園)会期:2026年3月17日(火)~5月10日(日) 休館日:月曜日(3月30日、5月4日は開館) 開館時間:10:00~17:00(金曜・土曜は10:00~20:00) 観覧料:一般2,000円、大学生1,200円、高校生700円いずれも消費税込み。※中学生以下、障害者手帳を所持の方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等の提示を。キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は、学生証・職員証の提示により団体料金で鑑賞いただけます。※本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展 「MOMATコレクション」(4-2F)も観覧可。主催:東京国立近代美術館、日本経済新聞社 協賛:ライブアートブックス 特別協力:神奈川県立歴史博物館、横浜美術館 協力:国立能楽堂、ビクセン ※会期中、一部作品の展示替えあり。※開催情報は変更になる場合あり。展覧会公式サイト:https://art.nikkei.com/kanzan/ 美術館ウェブサイト:https://www.momat.go.jp/exhibitions/567 展覧会公式X:@kanzan2026 問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
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