↑《ディヴァン・ジャポネ》1893年 80.8×60.8㎝
→《メイ・ベルフォール》1895年 79.5×61.0㎝
↓《マルセル・ランデール嬢の胸像》1895年 59.0×41.0㎝
※ともにリトグラフ
19世紀末フランスを代表する画家のひとり、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864年―1901年)の展覧会。パリのムーラン・ルージュをはじめとしたダンスホール、酒場などで唄う歌手や芸人などのポスターでも知られる画家である。このロートレックの紙作品の個人コレクションとしては世界最大級のを誇るフィロス・コレクションから選りすぐりの約240点が紹介される。→《メイ・ベルフォール》1895年 79.5×61.0㎝
↓《マルセル・ランデール嬢の胸像》1895年 59.0×41.0㎝
※ともにリトグラフ
フィロス・コレクションは、ギリシャ人コレクターのベリンダとポール・フィロス夫妻が20年以上にわたって収集しているロートレック作品の個人コレクションである。その総数は300点以上にのぼり、内容は素描を中心にしたグラフィック作品が主流だが版画や書籍、ポスターに関してはなかなか状態の良いものと高い評価である。
展覧会の構成は、1章は素描、いわゆるデッサンで完成度の高いものや紙片の両面に描かれたスケッチ、あるいはポスターの下絵なども含まれ、ロートレックの制作過程がうかがえる。2章は、ロートレックの世界―カフェ・コンセール、ダンスホール、キャバレ……と称してロートレックが生きた世紀末のパリ、とくにムーラン・ルージュと自由劇場、
↑《キャバレのアリスティド・ブリュアン》(文字のせ前)1893年127.3×95.0㎝
↓《紙吹雪(コンフェッティ)》1894年 82.5×59.0㎝
※ともにリトグラフ
制作座など劇場の舞台裏の世界を版画と素描で紹介。黒いタイツで足を高く上げて踊るムーラン・ルージュのフレンチカンカンダンサー、ジャヌ・アヴリルやヴァリエテ座のスター女優、マルセル・ランデールのほか、ロートレックがモデルとして選んで描いた芸人たちの姿が並ぶ、とくにお気に入りのモデル、劇場の歌手イヴェット・ギルベールとモンマルトルの伝説の歌手アリスティド・ブリュアンが描かれたポスターや素描は、ロートレックの代名詞ともいえる作品である。続く3章は書籍のための挿絵、雑誌、歌曲集などの出版物掲載の作品を展示。ジュール・ルナールの『博物誌』、デジレ・ディオーの歌曲集『昔噺』、ジョルジュ・クレマンソー『シナイ山の麓で』、芸術雑誌『ラ・ルヴュ・ブランシュ』や75人の芸術家による版画集『レスタンプ・オリジナル』などの書籍や雑誌類が紹介される。とくにディオーの歌曲集『昔噺』のなかの「君がため!」は、鉛筆の素描から始まり、石版、文字のせ前の刷り、完成作まで、一連の制作過程を紹介している。さらに4章ではロートレックの代名詞であり、世界中にファンの多いポスターがまとめて展示される。ポスターというものはそもそも屋外に掲示されるので、今に残っていてもその多くが破損したり変色したりと刷られた当初の状態をとどめていない。それでも前述のようにフィロス・コレクションは状態の良いものを厳選し、文字入れをする前の刷りが主に収集されている。そのため、オリジナルに近い状態の作品が目にすることができる。↓《紙吹雪(コンフェッティ)》1894年 82.5×59.0㎝
※ともにリトグラフ
最後5章は画家の私的生活と晩年が紹介される。フランス南仏アルビに代々続いた古い貴族の家系に生
↑《イヴェット・ギルベール》1893年 23.0×12.6㎝ 水彩/紙
→ブイヤベース、セスコーのメニュー・カード 1895年 34.8×22.0㎝ リトグラフ