↑ヘレン・シャルフベック《占い師(黄色いドレスの女性)》1926年 フィンランド国立アテネウム美術館 Finnish National Gallery / Ateneum Art Museum, Kaunisto Collection Photo: Finnish National Gallery / Hannu Aaltonen
スカンジナビア半島の付け根に位置し、豊かな自然に恵まれて“森と湖の国”と称される北欧の国・フィンランド。そしてこの共和国は母国のスオミ 語(フィンランド語)でSuomen Tasavalta(スオミ共和国)という。suoとは湖沼のことである。国民的作曲家ジャン・シベリウスの交響詩“フィンランディア”や建築家アルバート・アールトの機能的で美しい建物でフィンランドを思い浮かべる人も多いかも知れない。しかし、日本人にもっとも身近なのが童話作家トーベ・ヤンソンが描いた“ムーミン”ではないだろうか。2019年3月には埼玉県飯能市にムーミンの物語を追体験できるテーマパーク“ムーミンバレーパーク”が開園した。
第一次世界大戦末期の1917年、フィンランドはロシアから独立した。独立後の政情や国際情勢は不安定だったが、第二次世界大戦後も自由民主政治体制を維持し独立と平和を維持した。こうした国情のなか、社会における女性の立場や役割にも大きな変革が生まれた。19世紀半ばに設立されたフィンランド初の美術学校では設立当初から男女平等の美術教育を奨励した。
↑エルガ・セーセマン《自画像》19 46年 フィンランド国立アテネウム美術館 Finnish National Gallery/ Ateneum Art Museum Photo: Finnish National Gallery/ Yehia Eweis↑シーグリッド・ショーマン《自画像》制作年不詳 フィンランド国立アテネウム美術館 Finnish National Gallery/ Ateneum Art Museum Photo: Finnish National Gallery / Hannu Aaltonen
学んだ女性たちは奨学金や留学のチャンスを掴みそのキャリアを拓くことができたのである。
本展は、こうしたフィンランド独立前後を生き、同国の近代美術に革新をもたらした女性芸術家に焦点を当てる日本で初の展覧会。展覧会はフィンランド国立アテネウム美術館の企画で欧米3都市で催された国際巡回展をベースに、日本オリジナルの内容に再構成し、同美術館のコレクションから7人の女性作家を紹介する。作家は、近年世界的に注目を集めるヘレン・シャルフベック(1862-1946)や、かのロダンに学び≪カレーの市民≫ の制作助手も務めた彫刻家シーグリッド・アフ・フォルセルス(1860-1935)、パリで写実主義や自然主義を学んだ最初のフィンランド人のマリア・ヴィーク(1853-1928)、革新的な色彩表現を追求しカンディンスキーに大きな影響を受けたエレン・テスレフ(1869-1954)
↑マリア・ヴィーク《ボートをこぐ女性、スケッチ》1892年頃 フィンランド国立アテネウム美術館 Finnish National Gallery / Ateneum Art Museum, Granberg Collection Photo: Finnish National Gallery / Jenni Nurminen
、フィンランド芸術協会の素描学校でシャルフベックに学んだ画家にして美術評論画家のシーグリッド・ショーマン(1877-1979)、第二次世界大戦後の世代を代表する表現主義の画家エルガ・セーセマン(1922-2007)、ロダンのもとで彫刻を学びフィンランドで彫刻・版画の分野で先験的な役割を果たしたヒルダ・フルディーン(1877-1958)の7人。 いずれも独立以後のナショナリズムに沸くフィンランドにおいて、国際的でありモダンであり続けようとした女性作家たちの気概を、絵画・彫刻・素描・版画など約90点の作品を通して展覧する。女性がリーダーシップをとって活躍する今日のフィンランドの有り様は、これまで知らなかったフィンランド文化・芸術の新たな側面を見せてくれる。それは女性活躍世界を謳う現代の日本社会の有り様にも考察の機会を与えることになることだろう。会期中、シンポジウムや講演会、ギャラリートークなどのイベントも開催。詳細は同館へ。また本展は会場内での写真撮影もできる。
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『日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念 モダン・ウーマン ―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち』国立西洋美術館(台東区・上野公園) 会期:2019年6月18日(火)~9月23日(月・祝) 会場:国立西洋美術館新館展示室(東京都台東区上野公園7-7) 開館時間:9時30分~17時30分(金・土曜は~21時。入館は閉館の30分前まで) 休館日:毎週月曜と7月16日(火)※ただし7月15日(月・祝)、8月12日(月・休)、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)は開館 観覧料:一般500円 大学生250円 高校生以下および18歳未満、65歳以上は無料(入館時に学生証または年齢の確認できるもの提示)また本展は常設展の観覧券で観覧可 割引:毎週金・土曜の夜間開館時(17~21時)および毎月第2・4土曜は本展と常設展は観覧無料。「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」(6月11日~9月23日)は観覧当日に限り同展観覧券で本展が観覧可。心身に障がいのある方とその付き添いの方1名は無料(入館の際、障がい者手帳を提示を) 交通:JR上野駅公園口から徒歩1分、東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口から徒歩8分、京成電鉄京成上野駅から徒歩7分 問合せ:☎03-5777-8600(ハローダイヤル) 国立西洋美術館ホームページ:https ://www .nmwa.go.jp/ 公式SNSアカウント:Twitter@NMWATokyo Facebook@NationalMuseumofWestern Art 展覧会ハッシュタグ:#モダン・ウーマン展 または #ModernWoman 主催:国立西洋美術館、フィンランド国立アテネウム美術館 後援:フィンランド大使館、フィンランドセンター 助成: スカンジナビア・ニッポン、ササカワ財団 協力:フィンエアー、ヤマトグローバルロジスティクスジャパン 西洋美術振興財団