
人類誕生のはるか以前に地球を支配していた恐竜。恐竜が人々に知られるようになったのは、19世紀に始まった化石発掘を機に創られたその復元図。以来、研究者をはじめこの古代生物に魅せられた人々は、化石などの痕跡から絵画を手段として失われた恐竜の世界を創造してきた。 本展では、世界中から集められた「パレオアート」が約150点、展覧会構成は4章に分けられている。
『1章恐竜誕生―黎明期の奇妙な怪物たち』で紹介されるのは、19世紀に発見されて間もない時期に描かれたパレオアート、つまり黎明期の作品群。地質学者ヘンリー・デ・ラ・ビーチの原画による《ドゥリア・アンティクィオル(太古のドーセット)》は、英国の女性化石採集者メアリー・アニングの功績をたたえるために制作された版画で、古生物の生態を復元した史上初の絵画のひとつとされている恐竜図である。本展では、このデ・ラ・ビーチの原画に基づくジョージ・シャーフの版画とこれを拡大したロバート・ファレンによる油彩画が紹介される。
『2章 古典的恐竜像の確立と大衆化』では、パレオアートの巨匠画たちをまず紹介。19世紀末から20世紀前半にアメリカで活躍したチャールズ・R・ナイトとチェコスロバキア(現チェコ共和国)のズデニェク・ブリアンである。どちらも国際的に高く評価された二人の巨匠でこの二大の作品に加え、英国で活躍したイラストレーター、ニーヴ・パーカーの有名な恐竜画も紹介している。 彼らの作品は日本の図鑑などでも多く模写され、人々に与える恐竜のイメージを確立したと言って過言ではない。また、古生物学者・横山又次郎によって「恐竜」という訳語が作られて以来、科学雑誌や子供向けの漫画、コナン・ドイルの『失われた世界』(1912年)といった古典SFの翻訳ものなどで恐竜を主題にした出版物が広く刊行された。
『3章 日本の恐竜受容史」』では欧米から日本に入ってきた恐竜アートの影響を展観する。19世紀に欧米で成立した恐竜のイメージは、世紀末には日本にも移入された。特に古生物学者・横山又次郎が作った「恐竜」という訳語は、科学雑誌や子供向けの漫画、コナン・ドイルの『失われた世界』(1912年)など古典SFの翻訳など多くの刊行物の中で使われて広まった。この出版物と同時に恐竜の姿を模した模型なども多数制作されて、現代に続く恐竜人気の基となっている。
『4章 科学的知見によるイメージの再構築』では、 1960年代から70年代にかけてもたらされた「恐竜ルネッサンス」ともよばれる大きな変革を紹介。「鈍重な生き物」から「活発に動く恒温動物」へと恐竜像のイメージ変化に伴い、恐竜画のほうもさらに進化を遂げ、新しい表現のアーティストが次々と登場した。 国内有数の恐竜アイテムの収集家である田村博氏のコレクションから、我が国の文化史に登場する様々な恐竜を紹介。また、恐竜をテーマにした数々の漫画を手掛けた所十三の代表作『DINO2(ディノ・ディノ)』の貴重な原画のほか、ファインアートの領域から福沢一郎、立石紘一などの作品を紹介。 このほかインディアナポリス子供博物館や福井県立恐竜博物館のコレクションからファンタジーアートの領域でもカルト的な人気を誇るアメリカのイラストレーター、ウィリアム・スタウト、パステルを駆使して太古の世界の光と影を精緻に表現するダグラス・ヘンダーソンなど、現代の恐竜画の旗手たちの作品群も登場する。また、現代日本を代表するパレオアーティスト小田隆の迫力ある作品も楽しみである。
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『特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」』上野の森美術館(台東区・上野公園1-2) 会期:2023年5月31日(水)~7月22日(土) 展覧会場:上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2) 休館日:不定休 開館時間:10 : 00~17 : 00(入場は閉館30分前まで) 観覧料:一般2300円、大学・専門学校生1600円、高・中・小学生1000円 *未就学児は無料(高校生以上の付き添いが必要)
*障がい者手帳をお持ちの方と介助者1名は無料 チケット購入については、美術館HPで 交通:JR 上野駅 公園口より徒歩3分
東京メトロ・京成電鉄 上野駅より徒歩5分 住所:〒110-0007 東京都台東区上野公園 1-2
主催:産経新聞社、フジテレビジョン、上野の森美術館 協賛:DNP大日本印刷、JR東日本 企画協力:小田隆(画家・京都精華大学教授)、徳川広和(古生物造形作家・株式会社ACTOW代表)、田村博(ジャズピアニスト・恐竜グッズ収集家)、エリック・ビュフトー(古生物学者・フランス国立科学研究センター名誉研究部長) 制作協力:ウィステリアート 展覧会公式サイト:https://kyoryu-
zukan.jp/ 展覧会公式Twitter:
https://kyoryu-zukan.jp/