米国シカゴのサウス・サイド地区を拠点に彫刻と陶芸作品を中心に、建築、音楽、デザインなどメディアやジャンルを横断する活動で高い評価を受けているアーティスト、シアスター・ゲイツを紹介する日本初の展覧会。
1973年米国シカゴに生まれのシアスター・ゲイツは、彫刻と都市計画の教育を受け、2004年、愛知県常滑市で陶芸を学ぶために初めて日本にやってくる。その後20年以上、陶芸をはじめ日本文化に接し影響を受けている。彼の創作の礎となったのは、日本やアジア太平洋地域での出会いや発見、加えて米国ミシシッピとシカゴにルーツを持つアフリカ系アメリカ人として生きてきた経験である。
アーティストとして文化的ハイブリディティ(混合性)を探求するゲイツは、
アメリカの公民権運動(1954-1968年)の一翼を担ったスローガン「ブラック・イズ・ビューティフル」と日本の「民藝運動」の哲学を融合した独自の美学を表す「アフロ民藝 」という言葉を生み出した。
本展では、常滑で制作された陶器からシカゴのファンク・ミュージックやラウンジにインスパイアされた彫刻作品、江戸後期の歌人であり陶芸家でもある大田垣蓮月の作品、日本の香、酒、茶道をモチーフにした
新作まで、黒人文化と日本文化の歴史的な資料とオブジェを融合させた作品が並ぶ。また、シカゴを中心とした建築プロジェクトなど、「空間実践」のプロジェクトを紹介。恣意的に隔離され、土地の所有や投資などで平等な権利を与えられなかった黒人が多数を占めるシカゴのサウス・サイド。ゲイツは、この地区で廃墟となった40軒以上の建物を誰もがアートや文化活動に参加できる空間に作り変えている。このゲイツの建築プロジェクトの中でも、最も有名な「リビルド・ファウンデーション」(2009年も資料で紹介。これは、黒人の歴史と文化が記録された重要なコレクション、文化的・歴史的に貴重な品々を地域住民に公開し、活動への参加を呼びかけた記録である。
ゲイツの多角的な実践を通し、世界で注目を集め続けるブラック・アートの魅力、また手仕事への称賛、人種と政治への問い、文化の新たな融合などを謳う現代アートの重要性を実感する機会となる。
『シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝』森美術館(港区・六本木) 開催場所:森美術館 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F 開催期間:2024年4月24日(水)〜2024年9月1日(日) 開館時間:10:00 〜 22:00 火曜日は17:00まで 4月30日、8月13日は22:00まで 入場料:平日/一般 2000円、大学生・高校生 1400円、65歳以上 1700円、中学生以下 無料 土曜日・日曜日・休日/一般 2200円、大学生・高校生 1500円、65歳以上 1900円、中学生以下 無料 ※オンラインサイトより購入の場合は料金が異なります。 森美術館アクセス:東京メトロ日比谷線六本木駅1C出口より徒歩3分(コンコースにて直結)、都営大江戸線六本木駅3番出口より徒歩6分、JR渋谷駅より都営バス「六本木ヒルズ」下車 電話番号:050-5541-8600 (ハローダイヤル) 主催:森美術館 協賛:株式会社大林組 ブルームバーグ・フィランソロピーズ あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 ウッドフォードリザーブ 展覧会HP