4月15日~6月11日
東京ステーションギャラリー
大阪の日本画 JAPANESE PAINTINGS of MODERN OSAKA
↑北野恒富《宝恵籠》1931年頃、大阪府立中之島図書館

→↓中村貞以《失題》1921年、大阪中之島美術館
↓生田花朝《天神祭》1935年頃、大阪府立中之島図書館
東京駅丸の内北口で活動を続ける美術館、東京ステーションギャラリー、今回は大阪の日本画を紹介する。
東京、京都に加えて三都の一つに数えられる大阪。商工業都市として大きな経済力を誇った大阪は、急進の東
京、伝統と雅の京都と異なる独自の文化を形成した。近代大阪の美術は江戸の流れを汲みつつも、伝統にとらわれない闊達な表現を生み出したのである。豊かな経済力と高い教養をもつ富裕層らによる支えも大きな要因で、大阪らしさの由縁でもある。
本展は明治から昭和にいたる大阪で活躍した50名以上の画家たちの仕事を紹介する企画展。今回紹介されるのは、浪速の女性を表現した北野恒富(きたのつねとみ)、女性画家活躍の道を拓いた島成園(しませいえん)、大阪の文化をユーモラスに描いた菅楯彦(すがたてひこ)、新しい南画を主導した矢野橋村(やのきょうそん)、女性像にモダンな感覚を取り入れた中村貞以(なかむらていい)といった面々を中心に出品作家は50名を超える。
北野恒富(きたのつねとみ)は明治13年石川県に生まれた。明治43年に文展で《すだく虫》が初入選。大阪を拠点に独特の美人画を描いたが、
↑平井直水《梅花孔雀図》1904年、大阪中之島美術館

↓河邊青蘭《武陵桃源図》1908年、大阪中之島美術館←菅楯彦《阪都四つ橋》1946年、鳥取県立博物館

↓矢野橋村《不動窟》1951年、矢野一郎氏(愛媛県美術館寄託)[展示期間:5/16~6/11]
その作風は妖艶で退廃的。画壇の「悪魔派」と揶揄された。しかし、大正から昭和期にかけては大阪の風俗を題材に「はんなり」した風情漂う作品を発表した。
島成園(しませいえん)は明治25年大阪府に生まれた。ミナミの遊郭街の茶屋で日常を過ごしたという。20歳で文展に初入選し、大正から昭和初期の女性画家の流行を作った。
中村貞以(なかむらていい)は明治33年大阪市船場に生まれた。幼少のときから習字や絵に才能を発揮し、大正8年に北野恒富(きたの つねとみ)に師事。
浮世絵の伝統の上に近代的感覚を加味した画風を築いた。
生田花朝(いくたかちょう)は明治22年大阪に生まれた。菅楯彦(すがたてひこ)、北野恒富らに師事、大和絵、風俗人物画などを手掛けた。大正14年帝展に《春日》が初入選。さらに翌年《浪花天神祭》が特選を得た。
菅楯彦(すがたてひこ)は明治11年鳥取県に生まれた。父から日本画を学び、後に一家は大阪に移住。写生を基にしたきわめて独自の画風で、歴史、郷土芸能など民衆風俗を主題にした作品を発表した。
平井直水(ひらいちょくすい)は万延元年(1860)大坂に生まれた。30歳で画を志し、四条派の流れを組む大阪船場派の深田直城(ふかだちょくじょう)に師事。山水花鳥画を得意とし、特にクジャクの画に秀でた。
↑北野恒富《五月雨》1938年、大阪中之島美術館[展示期間:5/16~6/11]

↓島成園《祭りのよそおい》1913年、大阪中之島美術館
矢野橋村(やのきょうそん)は明治23年愛媛県に生まれた。勤務中に左手首切断の事故に合うものの南画家を志し、右手一本で創作活動を行った。大正10年に日本南画院を設立、また大正13年当時、大阪には美術を学ぶ学校がなかったことから天王寺区に私立大阪美術学校を設立。自ら校長に就任し、教鞭をとり南画家たちの
発表と研究の場を設けた。
河邊青蘭(かわべせいらん)は慶応4年大坂に生まれた。文人画を得意とする橋本青江(はしもとせいこう)に学び、花鳥・山水画を多く描いた。門弟も多く、清娯会などを主催した。
展示は、第1章:ひとを描く―北野恒富とその門下、第2章:文化を描く―菅楯彦、生田花朝、第3章:新たなる山水を描く―矢野橋村と新南画、第4章:文人画―街に息づく中国趣味、第5章:船場派―商家の床の間を飾る画、第6章:新しい表現の探求と女性画家の飛躍の6章構成。
明治から昭和前期にかけて大阪で生まれた日本画にフォーカスした本展には、大阪中之島美術館が長年かけて収集したコレクションと全国から集めた優品を合せ約150点が出品される。大阪の日本画はともすれば東京や
京都の画壇の陰に隠れてその独自性が見えづらかったが、この大規模な展覧により大阪の街で生まれた個性的な美術を明快に縦覧できる。
なお本展では、音声ガイドナビゲーターに大阪府出身で歌舞伎俳優の片岡愛之助氏が起用されている。大阪に花開いた独自の日本画の魅力を関西弁で案内する。※会期中展示替えあり。
frontgagagaga_shoptokyo_st
『大阪の日本画』東京ステーションギャラリー(千代田区・丸の内) 会期:2023年4月15日(土)~6月11日(日)会期中展示替えあり 会場:東京ステーションギャラリー(東京都千代田区丸の内1-9-1) 開館時間:10:00~18:00、金曜は~20:00(いずれも入館は閉館の30分前まで) 休館日:毎週月曜。ただし5月1日と6月5日は開館 入館料:一般1400円 高校・大学生1200円 中学生以下は無料※学生の方は入館の際、生徒手帳、学生証のご提示を※障がい者手帳をお持ちの方は100円割引・介助者は1名無料 交通:JR東京駅丸の内北口 問合せ:TEL03-3212-2485 東京ステーションギャラリー公式サイト:https://www.ejrcf.or.jp/gallery/ 主催:東京ステーションギャラリー(公益財団法人東日本鉄道文化財団)、毎日新聞社
TO CINEMA
CONTENTS
TO EXHIBITION
CONTENTS
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/