3月1日~6月12日
国立新美術館
ルーヴル美術館展 愛を描く
↑ジャン=オノレ・フラゴナール《かんぬき》1777-1778年頃油彩/カンヴァス 74 x 94 cmパリ、ルーヴル美術館 Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Michel Urtado / distributed by AMF-DNPartcom
本展は2018年から2019 年にかけて東京と大阪で開催された「ルーヴル美術館展 肖像芸術ー人は人をどう表現してきたか」に続いて開催されるルーヴル美術館展である。今回のテーマは「愛を描く」。『ルーヴルには、愛がある』のキャッチフレーズでルーヴル美術館の膨大なコレクションのなかから選りすぐった73点の名画を紹介するというもの。18世紀フランス絵画の至宝ともいうべきジャン=オノレ・フラゴナールの《かんぬき》、フランス新古典主義の傑作であるフランソワ・ジェラールの《アモルとプシュケ》をはじ
↑ピーテル・ファン・デル・ウェルフ《善悪の知識の木のそばのアダムとエバ》1712年以降 油彩/板45x35.5cm パリ、ルーヴル美術館 Photo ©RMN-Grand Palais (musée du Louvre) /Franck Raux/ distributed by AMF-DNPartcom↑サッソフェラート(本名 ジョヴァンニ・バッティスタ・サルヴィ)《眠る幼子イエス》1640-1685年頃油彩/カンヴァス 77 x 61 cmパリ、ルーヴル美術館Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Stéphane Maréchalle / distributed by AMF-DNPartcom
め、ルーヴル美術館所蔵の珠玉の「愛」の絵画が一堂に会するのが見どころ。名画に描かれた様々な愛の表現がストーリーを追うように紹介される。
展覧会は、『プロローグ 愛の発明』、『第1章 愛の神のもとに――古代神話における欲望を描く』、『第2章 キリスト教の神のもとに』、『第3章 人間のもとに――誘惑の時代』、『第4章 19世紀フランスの 牧歌的恋愛とロマン主義の悲劇』と5つのセクションで構成。まず、『プロローグ 愛の発明』でヨーロッパ世界の
↑フランソワ・ブーシェ《アモルの標的》1758年油彩/カンヴァス 268 x 167 cmパリ、ルーヴル美術館Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Gérard Blot / distributed by AMF-DNPartcom

→フランソワ・ジェラール《アモルとプシュケ》、または《アモルの最初のキスを受けるプシュケ》1798年油彩/カンヴァス 186 x 132 cmパリ、ルーヴル美術館
↑16世紀後半にヴェネツィアで活動した画家《アドニスの死》1550-1555年頃 油彩/カンヴァス 155 x 199 cmパリ、ルーヴル美術館Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) /Tony Querrec / distributed by AMF-DNPartcom

→ハブリエル・メツー《ヴァージナルを弾く女性と歌い手による楽曲の練習》、または《音楽のレッスン》1659-1662年頃油彩/板32 x 24.5 cm パリ、ルーヴル美術館 上下共にPhoto © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Tony Querrec / distributed by AMF-DNPartcom↑セバスティアーノ・コンカ《オレイテュイアを掠奪するボレアス》1715-1730年頃油彩/カンヴァス 77 x 108cm パリ、ルーヴル美術館Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Mathieu Rabeau / distributed by AMF-DNPartcom
↑クロード=マリー・デュビュッフ《アポロンとキュパリッソス》1821年 油彩/カンヴァス 192 x 227.5 cmアヴィニョン、カルヴェ美術館 Photo © Avignon, musée Calvet
文化の源になる『古代ギリシア・ローマ』と『キリスト教』の愛を世界を展開する。古代ギリシア・ローマの世界の愛の誕生とキリスト教の世界の道徳観に基づいたアダムとエバ夫婦の愛を描写した作品を紹介。
『第1章愛の神のもとに――古代神話における欲望を描く』ではタイトルどおり、愛する者の身も心もすべて所有したいという欲望を取り上げた。強烈な欲望をあらわにしたギリシア・ローマ神話の神々と人間が愛の欲望に突き動かされる様を「神話画」として描いた作品を紹介する。作品中の女性は妖しい美しさで男性を誘惑し、男性も肉体の強さを誇示して描き分けられているところが神話画の特徴だ。
『第2章 キリスト教の神のもとに』ではキリスト教の「親子愛」を取り上げている。愛する家族のために自己を
犠牲にする愛である。「ローマの慈愛」や「放蕩息子」を扱った作品はこのような犠牲的な愛の規範として描かれた。神は人類を救うために我が子イエスが磔になるということを受け入れた…このような主題は人間に対する神の愛と教示された。また、あらゆる苦痛に耐えた聖人たちの受難は神への盲目的な愛の証しである。本展ではイエスの磔刑と復活を見届けたちマグダラのマリアを主題にした作例で紹介される。
『第3章 人間のもとに――誘惑の時代』では、17世紀のオランダ、18世紀のフランスで盛んになった現実世界に生きる人間たちの愛を描いた作品を紹介する。ジャンルでは風俗画である。オランダの風俗画には、酒場で顔を寄せ合う庶民の男女、愛の売買を取引する若者と取り持ち女が描かれている。ハブリエル・メツーの《ヴァージナルを弾く女性と歌い手による楽曲の練習》のように室内で音楽を奏でる上流市民の恋人たちなど身分や年齢を問わず実にさまざまな男女の愛の場面がまるで現代のスナップ写真のようである。同時に18世紀のフランスで流行したロココを代表する画家アントワーヌ・ヴァトーが描く優雅な絵画も紹介。フェット・ギャラント(雅なる宴)である。上流階級の男女が美しい自然のなかで楽し気に会話やダンスをしながら恋の駆け引きをする様子が実に優雅と人気を博した絵画。また、当時盛んに描かれた女性のセクシャルな魅力を惜しげなく描いたブーシェの《褐色の髪のオダリスク》のような作品も並ぶ。特に本展の見どころとして大きく紹介されているロココを代表する画家ジャン・オノレ・フラゴナールの《かんぬき》は、優雅ではあるが悦楽かみだらな行為への警告かと解釈に迷うようなテーマで迫る。そして、この後18世紀後半啓蒙思想の台頭とブルジョワ階級の核家族化で結婚や家族に対す
↑ニコラ・ランクレ《鳥籠》1735年頃油彩/カンヴァス 39x 27 cm パリ、ルーヴル美術館Photo ©RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Michel Urtado /distributed by AMF-DN Partcom
る考え方の変化に伴い画家たちが描いた世の動きに合わせた夫婦や家族の肖像画や結婚を主題とした作品が続く。
最後の『第4章 19世紀フランスの牧歌的恋愛とロマン主義の悲劇』では、18世紀末のフランス革命後に流行した牧歌的な恋愛物語とロマン主義の特徴である破滅的な愛のテーマを題材として描かれた作品にスポットを当てる。新古典主義の画家フランソワ・ジェラールの傑作《アモルとプシュケ》に見られる無垢の愛やギリシア・ローマ神話に登場する《アポロンとキュパリッソス》など男性の愛の物語に題材を得たクロード=マリー・デュビュッフの作品ほかロマン主義の特徴である破滅的な愛のテーマが見られる。画家たちは純粋で情熱的な愛で結ばれた恋人たちが不幸な結末を迎えるという悲劇の愛を好んで描いている。
キリスト教の宗教絵画の家族愛、神への愛、屈託なくあけすけに愛を交わす庶民の男女、優雅に愛情表現する貴族の恋人たち、男性を妖しく誘惑する女性と美しい男の裸体、神話に登場する若い恋人たちとルーヴル美術館から選ばれた宝石のような作品が見る人を魅了する。時代や世相を背景に画家がドラマティックに描き出した「愛」の世界が熱く蘇る展覧会である。
『ルーヴル美術館展 愛を描く』 国立新美術館(港区・六本木) 会期:2023年3月1日(水)~6月12日(月) 休館日:毎週火曜日※ただし3月21日(火・祝)・5月2日(火)は開館、3月22日(水)は休館 開館時間:10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで 会場:国立新美術館 企画展示室1E(東京・六本木) 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 アクセス:東京メトロ千代田線 乃木坂駅 青山霊園方面改札6出口(美術館直結) 東京メトロ日比谷線 六本木駅 4a出口から徒歩約5分 都営地下鉄大江戸線 六本木駅 7出口から徒歩約4分 ※美術館に駐車場はなし 観覧料(税込):一般2100円 大学生1400円 高校生1000円 ※中学生以下は入場無料 ※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料 ※2023年3月18日(土)~ 31日(金)は高校生無料観覧日(要学生証提示) ※混雑緩和のため、事前予約制(日時指定券)。詳細は展覧会HPのチケット情報参照 ルーヴル美術館展オンラインチケット(イーティックス)、日テレゼロチケ、ローソンチケット、セブンチケット ※手数料がかかる場合があり〈当日券のみ〉国立新美術館 お得なチケットも販売。詳細は展覧会HPを。 主催:国立新美術館、ルーヴル美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社、BS日テレ、ニッポン放送 後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本 特別協賛:野村證券 協賛:大成建設、DNP大日本印刷 協力:日本航空、NX 日本通運、TOKYO MX、TOKYO FM 企画協力:NTVヨーロッパ お問合せ:TEL050-5541-8600(ハローダイヤル) 展覧会公式サイト:ルーヴル美術館展 愛を描く
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