↑オーブリー・ビアズリー《アーサー王は、唸る怪獣に出会う》1893年

→オーブリー・ビアズリー《「キーノーツ叢書」の宣伝ポスター》1966年
↓オーブリー・ビアズリー《孔雀の裳裾》1907年、いずれもヴィクトリア・アンド・アルバート博物館 Photo: Victoria and Albert Museum, London
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)との共同企画で開催する19世紀英国のイラストレーター、詩人、小説家であったビアズリー、デカダンスの寵児としていまなお愛好者を惹きつけるオーブリー・ビアズリーの歩みをたどる展覧会である。
19世紀末、英国の美術と文学はエキサイティングでスキャンダラスな耽美主義に見舞われた。官能性に頽廃、幻視と妄想、エロティシズムとグロテスク…あたかもユイスマンスの小説『さかしま』の世界を実現したかのような美の潮流が英国に出現したのである。その旗手がオーブリー・ビアズリーと仲間たちだった。オーブリー・ビアズリーは、1872年英国海峡に面した海浜保養地ブライトンに生まれた。
16歳でロンドンに出て保険会社の事務などを務めるが、その傍らほとんど独学でラファエロ前派、ホイッスラー、日本の浮世絵版画などを研究し特異な画筆スタイルを築いた。仕事をするのは夜だけ、それも2本の蝋燭の灯りだけで描くという神話も生まれたほどだ。大胆にデフォルメした形、流麗な線描、
↑オーブリー・ビアズリー《クライマックス》1893年

↓オーブリー・ビアズリー《サロメの化粧Ⅱ》1907年 すべてヴィクトリア・アンド・アルバート博物館 Photo: Victoria and Albert Museum, London
白と黒の鮮やかな対比による作品たちは頽廃の雰囲気を色濃く漂わせ、独自の世界を作り上げた。表紙デザインに装丁、挿絵を手掛けた『スチューディオ誌』(1893創刊)はビアズリーのデビュー作、トーマス・マロリー著『アーサー王の死』(1893-94)は出世作となった。これらを皮切りに、オスカー・ワイルド著の英語版『サロメ』(1894)、『イエロー・ブック誌』(1894創刊)、『サヴォイ誌』(1896創刊)などの挿絵や装丁を手掛けた。ことに『イエロー・ブック誌』は世紀末的・耽美的傾向が際立っていたため、良識ある英国市民層から非難や攻撃を浴びたりした。
その後、1895年オスカー・ワイルドが同性愛的性癖を原因とする訴訟でクインズベリ侯に敗訴すると、その余波でビアズリーも職を失ってしまった。その後ティフィール・ゴーティエ著『モーパン嬢』(1898)の挿絵などで新境地を開いたが持病の結核が悪化し、1898年南フランスのマントンで死去。25歳の若さだった。
本展はビアズリーのコレクションでは世界でも指折りといわれるヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)の全面協力により実現した。V&Aからは150点が来日。展示は初期から晩年までの挿絵や彩色されたポスター、貴重な直筆の素描50点も含め約220点が集結。画業10年、享年25歳。早すぎる死すら神話のようになりつつあるビアズリーの大回顧展である。
『さかしま』(仏: À rebours):フランスの作家ジョリス=カルル・ユイスマンスによる小説。1884年に刊行され、象徴主義、デカダンスを代表する作品として、モーリス・メーテルリンク、ポール・ヴァレリーなどに影響を与えた。「さかしま」は「逆さま」「道理にそむくこと」といった意味(英訳では"Against the Grain"または"Against Nature")。「デカダンスの聖書」とも評される。ウィキペディアより
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『異端の奇才――ビアズリー展』三菱一号館美術館(千代田区・丸の内) 会期:2025年2月15日(土)~5月11日(日) 会場:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2)開館時間:10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)※祝日を除く金曜と会期最終週平日、第2水曜、4月5日は20:00まで※併せて小企画展『江戸から東京へ(仮称)』も観覧可 休館日:月曜休館 ※ただし[トークフリーデー:2月24日・3月31日・4月28日]、5月5日は開館 観覧料:一般2300円 大学生1300円 高校生1000円 小・中学生無料※この展覧会は日時指定予約は不要 ※障がい者手帳をお持ちの方は半額、付添の方は1名まで無料 お得なチケットと割引:オンライン販売:平日限定チケット:1900円※2月18日(火)~3月14日(金)の平日利用可能・ビアズリー偏愛パス:5000円※1名様のみ会期中何度でも利用可能 ●チケット窓口:毎月第2水曜日「マジックアワーチケット」:1600円※当日の17:00以降にチケット窓口でのみ販売 ※詳しくは三菱一号館美術館Webサイトで。交通:JR東京駅丸の内南口から徒歩5分/JR有楽町駅国際フォーラム口から徒歩6分/東京メトロ千代田線二重橋前駅1番出口から徒歩3分/東京メトロ有楽町線有楽町駅D3・D5出口から徒歩6分/東京メトロ丸ノ内線東京駅から地下通路直結で徒歩6分/都営地下鉄三田線日比谷駅B7出口から徒歩3分 問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル) 展覧会サイト:https://mimt.jp/ex/beardsley/ 美術館サイト:https://mimt.jp/ 主催:三菱一号館美術館、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、朝日新聞社 後援:ブリティッシュ・カウンシル 協賛:DNP大日本印刷 協力:日本航空